普段、生活をする上で欠かせない毎日の食事。
自宅や職場、飲食店と様々なシチュエーションでいただいたお料理が、毎日の僕らのエネルギーになっています。
さて、僕は今、志摩市のレストラン Cloud1 Dining 縁にいて、とても美味しそうなアカモク丼を見つめています。
アカモクをはじめ、お米に漬けカツオ、卵に大葉と様々な食材が使われているアカモク丼。
ゴクリと喉を鳴らしながら、ここでひとつ疑問を抱きます。
そもそも、これらの食材って一体どこから、どのようにして丼の上に盛り付けられているのでしょうか?
そう、実は僕たちが普段食べる料理の食材というのは、たくさんの「ひと」達がバトンを繋いでくれていることを実感できていません。
何となくそうなんだろうなと思っている人は多くても、なかなか想像できませんよね。僕もそうです。
世の中はインターネットやSNSが普及したはいっても、断片的で情報は溢れていています。また、私たちが生活をする中では、特に生産や加工の現場を見る機会なんて、ほとんどありません。
そこで今回、僕の目の前にあるアカモク丼の主役「アカモク」に注目し、生産・加工・販売の現場を巡って取材をさせていただきました。
僕たちの「いただきます!までの軌跡」。
ぜひ、お付き合いください。
漁師さんの元へ ジャマモクと呼ばれていた伊勢志摩のアカモクはネバネバで万能な食材でした。
そもそもアカモクって?
アカモクは褐藻類(ヒバマタ目ホンダワラ科)に属する海藻。栄養のある浅海で育ち、生命力がとても強く、成長すると約7mほどまで成長します。
アカモクは栄養豊富です。特に高血圧抑制や血糖上昇予防、抗腫瘍作用、コレステロール低下に効果があるといわれていネバネバ成分のフコイダンはとても注目されています。
また、脂肪燃焼に効果のあるフコキサンチン、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維も豊富です。
アカモクの産地として訪れたのは、鳥羽市浦村町。
全国有数の牡蠣養殖産地としても有名な町の海では、ワカメ養殖やアカモク増殖も盛んに行われています。養殖と増殖の違いは、養殖は人が管理して水産物を育てるのに対して、増殖は環境を作って水産物を育てます。
浅尾さん「アカモクはな、邪魔な海藻。ジャマモクって呼ばれとったんさ。」
アカモクは、ひじきなどの他の海藻と収穫時期が重なっています。陸にひじきを刈り取りに行く際に、船の行く手を阻む海藻・・・それがアカモクでした。
浅尾さん「俺らも船に乗っとると、スクリューが何かにひっかかった音でわかる。あぁアカモクかなぁって。」
そんな漁師さんにとって厄介者でしかなかった海藻 アカモクを見て、何かに活用できるのではないか?と、2011年に浅尾さんたち漁師さんは行動を起こします。
しかし、いざアカモクを収穫して販売してみたところ、東北地方では食べられていても、三重県では馴染みがなく受け入れてもらえませんでした。
まずは知ってもらうことから。そこには大変な苦労もあったそうです。
そして、浅尾さんたちの地道な活動は徐々に実を結んでいき、三重県産アカモクは広く知られていくことになります。
アカモクを収穫する際、漁師さんたちは常に気をつけていることがあります。
アカモクは本土から沖合にかけて育っていき、漁師さんは時期や育ち具合を見極めながら、順番に刈り取っていきます。
その際に注意しているポイントが、
- 色があせていない新鮮なアカモクを刈りとること
- 刈り取りすぎないこと
です。
浅尾さん「資源を絶やしてしまったらあかん。それに、良い状態のアカモクをしっかり見極めて刈りとる。それが、俺たち漁師の役割なんさ。」
海から引き揚げたアカモクは、そのまま僕たちの元へ・・・は届きません。
漁師さんたちが収穫した新鮮なアカモクの次に向かう場所。
そこは僕たちがアカモクを美味しくいただくために、安心・安全を提供してくれている志摩市にある水産加工場でした。
伊勢志摩産のアカモクを「安心・安全」に。志摩市の水産加工場の徹底した衛生管理の様子。
次に訪れたのは、志摩市安乗にある水産加工場。
建物内にお邪魔すると、ガラス越しに白い作業着姿の従業員の方たちがアカモクを加工されていました。
石川さん「ここの工場はHACCAPに対応していまして、今の時期はアカモクや伊勢まだいを加工してます。」
HACCPとは?
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です。
HACCPは2018年6月に可決した改正食品衛生法により、2020年6月から食品を扱う全事業者に対しHACCPによる衛生管理が義務化。そして、1年後の2021年6月から完全義務化になります。
つまり、実は僕たちの知らないところで、これからますます食品の安心・安全を徹底されていく動きが食品業界で起こっているということ。
T&Tの水産加工場は、安心・安全を徹底されている三重県内でも有数の工場でした。
石川さん「HACCPは何か問題が発生した時に、どこまで工程を辿れるかということ。例えば、アカモク加工では茹でる温度、水や氷水で冷ます温度、パックに充填する温度のチェックを常に行っています。」
このような工程を経て、海で収穫されたアカモクは安心・安全な商品に生まれ変わります。そして、飲食店やスーパーなどの小売店に運ばれていくのです。
伊勢志摩産のアカモクを美味しくいただく。Cloud1 Dining 縁のネバトロなアカモク丼をいただきます。
冒頭のCloud1Dining 縁へシーンが戻ってきました。
Cloud1Dining 縁のアカモク丼は、志摩市の郷土食で海で働く方たちの力の源「てこね寿司」の上に、アカモクと卵を乗せた特別なごちそうです。
疲れが吹き飛ぶ甘めの醤油タレは、アカモク丼にとてもよく合います。口の中で存分に味わっていると、浅尾さんたち漁師さんに石川さんたち水産工場の方たちの姿が鮮明に蘇ってきます。
ー「そうか。だから、こんなに美味しいんだ。」
今まで、なかなか実感を持てなかったこと得て、僕はお腹も心も満たされていました。
地元スーパーで販売!伊勢志摩産のアカモクがご家庭へ。
後日、伊勢市にあるスーパー ぎゅーとらハイジ店さんにお邪魔しました。
志摩市の工場でパック詰めされたアカモクは、ぎゅーとらハイジ店をはじめ、ぎゅーとら各店で販売されています。
僕にとっては何度か知らず知らずのうちに購入していた、アカモクパック。商品を手にとると、ここでも漁師さんや水産加工場で働く方々の姿が蘇ってきました。
自宅に帰宅して、さっそく美味しくアカモクをいただいてみます。
アカモクをいただくまでの軌跡を振り返って
漁師さんの収穫から、水産工場での加工、Cloud1 Dining縁でのアカモク丼、そしてぎゅーとらハイジ店での販売に自宅でのアカモク料理。
そんなアカモクを美味しくいただくまでの軌跡を知れたことは、かけがえのない貴重な経験になりました。
僕たちの身近などんな食材にもアカモクのように「いただきます!の軌跡」があります。
まだまだ知られていない「いただきます!の軌跡」を。僕たちがもっと知ることができれば、毎日の「食」はもっと美味しく楽しくなるに違いありません。
Cloud1 Dining 縁のご紹介
店名 | Cloud1 Dining 縁(クラウドワンダイニング エニシ) |
住所 | 三重県志摩市志摩町越賀2249-13 |
定休日 | 水曜日(8月中は無休) |
営業時間 | 11:00~15:00(Lo14:00) |
電話番号 | 0599-85-7889 予約可能 |
公式facebook | こちらから |
駐車場 | あり |
アクセス方法 | 伊勢神宮内宮から車で56分,志摩スペイン村から29分 |
Cloud1 Dining 縁 アクセスマップ
ぎゅーとらハイジー店のご紹介
店名 | ぎゅーとらハイジー店 |
住所 | 伊勢市船江3丁目16番51号 |
定休日 | なし ※.年末年始は特別営業 |
営業時間 | 9:00~21:45 |
電話番号 | 0596-36-1245(受付時間/9:00~21:45) |
公式WEB | こちらから |
駐車場 | 220台 |
アクセス方法 | 伊勢神宮内宮から車で16分 |
ぎゅーとらハイジー店 アクセスマップ