日本酒にはそれぞれ個性がある。
本醸造や純米酒、純米大吟醸といった製法の違い、酒米やこうじ菌の種類、そして何よりも酒蔵で働く人々の作り方や思いで味わいは十人十色だ。
日本酒をいただく時に欠かせないのは、美味しい酒の肴(さけのさかな)だろう。
肴といっても日本酒同様に、酒盗や干物といったThe定番のものから、チョコレートや果物など対象となる食べ物は幅広い。
毎年、5月26日は伊勢市の商店街は人々の活気に包まれる。
三重県の酒蔵が一堂に会する年1回の特別イベント「伊勢志摩SAKEサミット」だ。
「伊勢志摩SAKEサミット2019」に参加した私は、「日本酒と酒の肴」というテーマの究極の答えに出会えた。
本記事では「伊勢志摩SAKEサミット2019の様子」と「日本酒と酒と肴」で印象的だった飲食ブースを紹介していく。
伊勢志摩SAKEサミット2019|人でごったがえす高柳商店街
伊勢志摩SAKEサミットは2019年5月26日で3回目の開催となる。年を重ねるごとに参加者は増え続け、毎年開催を楽しみにしているファンが多い。
三重県の地酒と伊勢志摩の食の祭典 伊勢志摩SAKEサミット2019
三重県の酒蔵参加が過去最大の22蔵、100銘柄。
日付:2019年5月26日(日)
時間:10:30~ (開場 10:00~)
会場:伊勢高柳商店街(三重県)
参加方法:事前に前売りチケットを購入するか、当日チケットを購入する。初参加の方は受付にてチケットとお猪口を交換。酒蔵ブースでチケット必要枚数を渡してお猪口に日本酒を注いでもらう。酒蔵ブースはチケット交換のみであるが、飲食店ブースはチケット交換に加え現金でも交換ができる。
参加酒蔵一覧
- 銘柄 宮の雪|宮崎本
- 銘柄 黒松翁|森本仙右衛門商店
- 銘柄 作|清水清三郎商店
- 銘柄 颯|後藤酒造
- 銘柄 半蔵|大田酒造
- 銘柄 おかげさま|伊勢萬
- 銘柄 田光|早川酒造
- 銘柄 やまいし|石川酒造
- 銘柄 鈿女|伊藤酒造
- 銘柄 三重の寒梅|丸彦酒造
- 銘柄 義左衛門|若戎酒造
- 銘柄 瀧自慢|瀧自慢酒造
- 銘柄 天下錦|福持酒造
- 銘柄 夢窓|新良酒造
- 銘柄 白米城|中山酒造
- 銘柄 三重錦|中井酒造場
- 銘柄 寒紅梅|寒紅梅酒造
- 銘柄 るみ子の酒|森喜酒造
- 銘柄 鉾杉|河武酒造
- 銘柄 天一|早川酒造部
- 銘柄 参宮|澤佐酒造
- 銘柄 酒屋八兵衛|元坂酒造
特別参加枠
- 伊勢角屋麦酒
- 皇學館大学(伊勢萬|旭酒造)|神都の祈り
参加飲食店店舗
- Sake Bar Asakichi(麻吉旅館)
- acatoki
- エイトフーズ
- 新割烹 柚子
- 相差太陽水産
- ミルポア
- ボンダイ屋
- 紅谷
- MIKURIYA 食堂すずき
- ダンデライオン・チョコレート
- 古仁屋
- NAKA山YA
- ほんわり亭
- マルサ商店
- 伊勢すえよし「東京西麻布」
- 割烹 大喜
- うな善
- 居酒屋 ふぐや
- 冷燻の大松屋
- HA・菜・RE あじろ
- 山藤
伊勢志摩SAKEサミットの様子|お猪口片手に目移りしてしまう酒蔵と飲食店の数々
まず最初に断っておくが、全ての銘柄と飲食店を楽しもうとすることは無謀だ。
参加者の中にはそんな猛者もいるかもしれないが、私には到底真似できない。
過去の記憶を辿ってみても、高柳商店街の人だかりは伊勢志摩SAKEサミット2019で見た賑わいが一番かもしれない。
伊勢志摩SAKEサミットに初めて参加した時の印象としては、「三重県ってこんなに酒蔵さんや銘柄があったんだ。」ということだ。
例えば、伊勢市であれば伊勢萬の「おかげさま」や元坂酒造の「酒屋 八兵衛」、松阪市であれば河武醸造の「鉾杉」や中山酒造の「白米城」あたりが馴染みのある銘柄ではないだろうか?
実は三重県には酒蔵が35蔵ある。
知った時は「そんなにあったのか」と驚いたが、以前に比べて酒蔵の数は減っているそうだ。
普段は出会うことのできない三重県の日本酒が飲める伊勢志摩SAKEサミットは、ミシュランでいうところの3つ星で「そのために旅行する価値のある”イベント”」だろう。
さらに、酒蔵ブースだけでなく、飲食店ブースもあれもこれも魅力的で目移りする。
南伊勢町の美味しい干物に、
鳥羽の牡蠣がのった練り物
志摩の鯖の冷燻に、
スイーツの伊勢わらび餅
そのままでも美味しい料理を肴に、お猪口に注いだ日本酒を飲むペースがついつい早くなってしまうので注意が必要だ。
さて、私が伊勢志摩SAKEサミットを満喫する中で、特に美味しくて印象に残った飲食店ブースがあった。伊勢すえよし「東京西麻布」のブースだ。
伊勢志摩SAKEサミット参加の料理人の提案|肴に合う銘柄はこちら。
伊勢すえよし「東京西麻布」は、伊勢志摩SAKEサミットに参加するために東京西麻布から弾丸参戦したお店だ。
店主の田中さんは、三重県四日市市出身の熱き料理人で三重県の食材にこだわり、生産者の元に自ら訪れる。生産者の思いを受け取り、遠く離れた東京西麻布でお客様に届ける。
実は伊勢すえよしのお客様の80%以上がヨーロッパ系の外国人。英語で本格的な日本懐石と日本酒が楽しめるお店として有名だ。
伊勢すえよしは世界最大の旅行・口コミサイト「トリップアドバイザー」でトラベラーズチョイス2018、日本のベストレストラン2018のランキングでは第三位を受賞している。
私も一度だけ、お店を訪れたことがある。
田中さんらのきめ細かな気配りや料理の彩り、そして三重県でも手に入れることができない食材が伊勢すえよしにあることに驚いた。それだけ生産者に田中さんが信頼をされている証拠なのだ。
世界中の人々に愛される伊勢すえよしの料理。私はそんな伊勢すえよしの食材やお酒が三重県のものであるということが、とても誇らしい。
伊勢すえよし「東京西麻布」の肴3種類
さて、伊勢すえよしブースの最大の特徴は、特定銘柄の酒粕で漬け込んだ料理であることだ。
酒粕漬けラインナップ
- 鶏肉のるみ子粕漬け
- 鯛の瀧自慢粕漬け
- ドライいちじくとクリームチーズの田光粕漬け
鶏肉のるみ子粕漬けに合わせるのは、森喜酒造の「純米酒 るみ子の酒」
鯛の瀧自慢粕漬けに合わせるのは、瀧自慢酒造の「辛口一徹純米酒 瀧自慢 はやせ」
ドライいちじくとクリームチーズの田光粕漬けに合わせるのは、早川酒造の「無濾過中取り純米吟醸 田光」
それぞれの酒粕漬けは、もちろんそのままでも十分美味しいが、日本酒と合わせると至福の味わいが待っている。
共通しているのはどれも旨味が抜群にある点だ。食材を酒粕が見事に引き立てている。
私は特に「ドライいちじくとクリームチーズの田光粕漬け」と「無濾過中取り純米吟醸 田光」のペアリングが忘れられない。
ドライいちじくの甘み、クリームチーズと酒粕の濃醇さがたまらない。租借しながら田光を口に含めば、飲み込むのがもったいなく感じるほどだ。
酒蔵が作り出すお酒とひとくくりにいっても、種類や味わいは様々。
銘柄に合わせた特別な酒の肴は、私のこれからの「食」に楽しい気づきを与えてくれた。
Sake Bar Asakichi(麻吉旅館) 酒の肴「7蔵まわれる7種盛」
実は伊勢すえよし「東京西麻布」以外にも、魅力的な飲食店ブースがあった。
Sake Bar Asakichi(麻吉旅館)だ。
販売されていたのは「7蔵まわれる7種盛」の肴だった。
7蔵まわれる7種盛のラインアップ
- 生ハム干し柿|半蔵&雄町 純米大吟醸|大田酒造
- 酢味噌わかめ|天一 純米無濾過生原酒|早川酒造部
- ポテトサラダ|天下錦 特別純米|福持酒造
- ぶり煮付け|鉾杉 山廃純米酒|河武醸造
- きゅうり糠漬け|アンプレヴュ|澤佐酒造
- あおさのりチーズ|酒屋八兵衛 伊勢錦 山廃純米|元坂酒造
- 食べる甘酒|三重錦 うすにごり|中井酒造場
出店ブースの中でSake Bar Asakichi以上に日本酒の銘柄と肴を合わせて楽しめる内容はなかったと記憶している。
私は伊勢志摩SAKEサミット2019で、Sake Bar Asakichiの「7蔵まわれる7種盛」を提案された銘柄で楽しむことができなかったのが心残りがある。参加者の中にも私と同じ境遇の人がいるのではないだろうか?
そんな自分とあなたに朗報をこの場を借りてお伝えしておこう。
Sake Bar Asakichiの上田さんに直接聞いてみたところ、Sake Bar Asakichiで「7蔵まわれる7種盛」を楽しめるそうなのだ。
伝統ある麻吉旅館でいただく、三重県の地酒と肴。想像するだけで、店に行くのが楽しみだ。
美味い酒を美味い肴で飲みたい。
実は私は普段はお酒を飲む習慣がない。
宴会などの特別な席や「今日は飲むぞ」と意気込んだ時だけなのだ。
車移動が多いことや、アルコール耐性が低いことも理由の一つだが、それよりも「ただお酒を飲むこと」に魅力をあまり感じていない。
ただ酔いたいという考えで飲むと、次の日は後悔の念を抱いたという経験も少なくない。
またもう一つ付け加えると、一人で飲むお酒もあまり楽しめない。お酒を飲むなら誰かと一緒に飲みたい。
数年前までは魅力を感じていなかった日本酒だったが、あるきっかけで大きな変化が訪れた。
そう、酒の肴と一緒に飲む日本酒は美味しくて魅力的だと気付いたのだ。
日本酒はとても奥深く、酒の肴も奥深い。
お酒は毎日飲むのは環境や体質の天秤でなかなか困難だが、伊勢志摩SAKEサミットのような安心して美味しい日本酒を楽しめるイベントには喜んで参加していく。
特に「伊勢すえよし」さんや「Sake Bar Asakichi」さんのような肴の提案は、さらなる美味しい日本酒を楽しむ、答えなのかもしれない。
伊勢すえよしのご紹介
完全予約制
住所:東京都港区西麻布4-2-15 水野ビル3階
定休日:日曜
営業時間:17:00-23:30(最終入店21:00)
電話番号:03-6427-2314
※.予約受付は11:00〜22:00まで。17:00以降は繋がりにくいため注意。
公式WEB:http://isesueyoshi.blog.fc2.com/
Sake Bar Asakichi(麻吉旅館)のご紹介
完全予約制
住所:三重県伊勢市中之町109-3
定休日:不定休
営業時間:19:30~23:00
電話番号:080-5168-7836
※予約受付は当日21:00まで。
公式WEB:http://iseyado.com/oyadolist/asakichi/
伊勢志摩SAKEサミット 関連リンク
伊勢志摩SAKEサミットFacebookページ: https://www.facebook.com/iseshima.sake.summit/