前回までのあらすじ...
伊勢志摩で巨大な海のギャング ウツボが大量発生しているらしい。ウツボは伊勢海老の天敵、タコを食べてくれる。伊勢海老漁師さんにとって、ウツボは有り難い存在のはず!だったのが……現在、大量発生により脱皮したての伊勢海老や子供を食べてしまっているそうだ。南伊勢生まれでウツボは美味しい食べ物として育った筆者。ただ、ウツボを自分でさばいて食べた経験は一度もない。そんな時、漁師さんのご厚意でウツボを譲っていただけることに。絶好の好機、さばいて、干物にして、美味しく食べてやるぞ!と息巻いたものの、さばく段階から大苦戦...
前回の記事「受け取り・魚捌き編」はこちらから
そうして、なんとかウツボを捌き終え安堵したのもつかの間。次は一夜干しに挑戦だ!
果たしてちゃんと干せるのだろうか?
多分、大丈夫だろう...そんな考えは案の定甘かったと今は認めざるを得ない。では、参りましょう。
Q.なぜ自宅でウツボを干すのか?
と格好良く言ってみたものの、ウツボを干したこと、そして他の魚の干物を自分で作ったこともありません。(一応、漁村生まれなのに。)
干物づくり素人としての武器は、干物作りサイトでの事前学習と鳥羽なかまちの頼れる旨味職人 魚寅の杉田さん。
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海童工房 魚寅|伊勢志摩産の海産物の燻製・発酵食品の製造販売
海童工房 魚寅は三重県鳥羽市で伊勢志摩産の海産物の燻製・発酵食品の製造販売を行っています。特に牡蠣の燻製やオイル漬け、アンチョビや魚醤が大変人気です。商品は通信販売にてお買い求めいただけます。是非ご利 ...
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で、杉田さんに色々と教えていただきました。
まず、捌いたウツボはすぐには干さず、塩水につけることに。1リットルの水に対して、塩を48g入れます。
せっかくなので、自宅で愛用していた「岩戸の塩」を水に溶かします。なかなかリッチな塩水です。確実に美味しくなるはず。
そうして・・・5時間が経過しました。時計の針は18時を指しています。
・・・・夕方でいいんです!元々、想定していた干物作りの本番はこれからなんですから。
今回、美味しい干物をつくるために選んだ方法は一夜干し。
一夜干しはその名の通り、夜の涼しい時間を活かして干物を作る方法です。太陽の下で干す「天日干し」に比べると、素材の水分量を残しながら柔らかな触感と凝縮を味わえます。
明くる日の悲劇...干物づくりの天敵 雨模様
前日時点でも薄々、気づいていたんですよね。天気が悪そうだって。
一夜干しにしたウツボは...案の定、乾いてません!雨が降っていなくても湿気の多い日は、干物づくりには適しません。
でも、ご安心ください。次の策をとるのみです。
屋根付きのお外から移動した場所...そこは
風呂場!
自宅の扇風機も、まさか風呂場でウツボの切り身に風を送ることなるとは思ってもみなかったでしょう。
そう、一夜干しの次は風干し!魚寅の杉田さんから「風干しにすると、美味しんよぉー。扇風機の風でもいいよ。」という言葉を聞いていましたからね。ありがとう、頼れる旨味爆発職人 杉田さん。
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三重県鳥羽市のお土産 牡蠣のオリーブオイル漬け 発酵と燻製専門 海童工房 魚寅
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思った以上に風干しで乾くには時間がかかりそうです。2日目も乾きませんでした。
風干ししている場所は何といっても風呂場。1日の疲れを癒やす至福の一時 バスタイムを諦める...という選択肢は僕にはなく、夕方16時頃には換気もして気になるところを洗浄しました。
雨も上がったので一夜干し、いや2回目なので二夜干しに挑戦!果たして、ウツボは美味しく乾いてくれるのか?
自宅で伊勢志摩のウツボ干物作り 最終決戦!
ウツボを捌いて3日目の朝、ウツボは見事に…
まだ乾いてませんでした!
そういえば、魚寅の杉田さんが「仕上げにちょっと天日干しにするのも美味しいよぉ。」って言っていたような気がします。いや、言っていました!
天気はいい感じに晴れています。これは良きタイミングで天日干しを挟んで、念願の伊勢志摩産ウツボの干物完成です。ゴールが見えてきました。
良い感じに乾いてきました。
僕の頭の中では乾きたてのウツボを食べる!そのことで頭がいっぱいです。カリカリなウツボの唐揚げを食べるんだ...そうか、まだその手があった!とひらめいた最終手段。
ウツボを細かく切る!
ウツボの表面は乾いていて、しっとりしているところはウツボの身です。
- ウツボを捌いて一夜干しにした 1日目
- 天候悪く、風呂場で風干しにした2日目
- 一夜干し、風干し、天日干しを駆使して刻みウツボという手段までとった3日目
・・・やっと、やっと完成しました。自宅でつくる伊勢志摩産ウツボの干物。
ウツボの干物を作り終えて感じたこと...それは、南伊勢町や紀北町などで購入するウツボの干物のありがたさ。
何て思っていた自分よ、何と愚か。販売されているウツボの干物は、これまで経験してきた3日間がギュッとつまった有り難すぎる食べ物でした。
ウツボの干物に出会ったら、ただただ感謝。その一言に尽きるでしょう。
ありがとう干物屋さん。そして、色々アドバイスをいただいた魚寅の杉田さん、本当にありがとうございました。
次回 伊勢志摩産ウツボを食らう
目の前に大量にある伊勢志摩産ウツボの干物。
あぁ早くカリカリとしたウツボの唐揚げを食べたい!という衝動が抑えられません。
こんなに贅沢にウツボの干物を食べていいのでしょうか?
・・・いいんです!
なぜなら、自分で伊勢志摩産のウツボを自宅で捌いて作った干物なのだから。
そして、このウツボの干物を身近な方におすそ分けして、美味しさを共有しよう。
つづく
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伊勢志摩産の巨大ウツボを、自宅で捌いて干物を作るぞ【美味しくお料理編】
前回までのあらすじ 伊勢志摩の大量発生している海のギャング ウツボ。漁師さんから巨大なウツボ2尾を譲り受け何とか捌いて、3日の奮闘によって美味しそうな干物をつくりあげることに成功した。 これまでの記事 ...
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